大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)444 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士松本乃武雄、同早稲田逸郎の上告理由第一点ないし第三点につ

いて。

本件契約の内容、その契約成立にいたる経緯およびその履行の状況等に関する原

判決の事実認定は、挙示の証拠によりこれを肯認することができる。そして、右認

定事実に照し、本件契約の趣旨は、D株式会社らは、売買契約成立とともに即時に

土地建物を引き渡し、土地の所有権移転登記及び二重登記の抹消を遅滞なく行い、

割賦金が金二〇万円に達し被控訴人ら(被上告人ら)から電話代金に充当する旨の

意思表示があれば遅滞なくその名義変更手続をなす義務があり、これに対し被控訴

人らは割賦金を支払う義務があるものと定められたこと明らかであり、当事者双方

の債務は、双務契約における対価の関係に立つものと認められ、従つて、D株式会

社とEが前記義務を履行しない限り、被控訴人らは爾後の割賦金の支払を拒み得る

ものというべき旨の原判決の判断、竝びに、D株式会社らは、一般に抹消登記手続

に必要とする相当の期間を経過し昭和二七年八月五日にもその抹消登記手続が完了

しなかつたから履行遅滞があるというべく、また、Eが判示のごとく同日にも判示

電話加入権(神田局第二八二七番)の名義変更をしないから被控訴人らが同日以降

の割賦金を支払わなかつたとしても債務不履行があるということはできない旨の原

判決の判断は、いずれも、これを正当として是認することができる。されば、本件

につき民法五三三条違反をいう論旨第一点竝びに同第三点の一ないし三は、原審が

適法に確定した事実関係に基く正当な法律上の判断を非難するか又は原審の認定に

副わない独自の見解であつて採るを得ない(なお、同時履行の抗弁権放棄の主張は、

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原審でなされていない)。また、同第二点同第三点の四は、結局原審が適法になし

た事実の認定、証拠の取捨、判断を非難するに帰し採ることができない。(なお、

本件は、神田局二八二七番電話加入権に関するもので、所論の電話加入権に関する

ものではない。)。

同第四点、第五点について。

しかし、所論追認に関する原判示は、その証拠関係並びにその説示に照しこれを

是認することができる。所論は、結局原審の裁量に属する証拠の取捨、判断ないし

事実の認定を非難するに過ぎないものであつて、採るを得ない(なお、所論第五点

の準備書面は、原審において陳述されなかつたものであるから、原判決には、所論

の判断遺脱も認められない。)。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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